2019-03-18

8年目の3.11、そして宮澤賢治。



今、岩手県盛岡にいます。2月の終わりに1週間、そして3月頭から約1ヶ月の予定で盛岡にいます。岩手在住のアーティストと、岩手出身のアーティストと、そして東京から参加するアーティストと「アンソロジー宮澤賢治 イーハトーヴォ発 『ジョバンニの切符』」という舞台作品を作っています。

3月11日、暴風雨の中、出演者とともに陸前高田に行きました。8年前の震災で津波による被害が最も大きかった町です。その町のお寺の住職さん、家族の人を失った方、子どもにピアノを教えるピアノ教室の先生の3人からお話しを伺いました。町の中心部の大半は土で嵩上げされており、建物はあまり建っておらず、10メートルの防波堤の先に海の姿は見えませんでした。人の姿よりも嵩上げされた何もない土地と、その土地の上にある数十台の工事車両ばかりと言った印象でした。




お寺の檀家さんの火葬された方のリストは300名を超えていました。それは300名という集団の人数ではなく、300名という子どもから老人までの個人の人数でした。

母、妻、娘を亡くされたその方は、話しの中でその3人を主語で言うことはありませんでした。家族以外の誰かの話しをされる時、例えば思わずシャッターを切らざろう得なかった、流される屋根の上にいる人や、市役所の螺旋階段を登る時に階下で流される二人の同僚の方や、市役所から部署の変更で、結果、津波に流されてしまった市民会館に配置された同僚や、避難場所に指定された体育館で生き残った2人の方の話しをされるとき、主語はあるのですが、失った家族の話しをされるときに、それが誰なのかと言う主語を決して口にすることはありませんでした。

ピアノ教室の先生は、ある子どもがピアノ教室に来てまず最初にすることは床に寝転がって大の字になると言う話しをされました。避難所では決して出来ない大の字でした。

そして、震災後、ピアノ教室に戻ってくる子どもたちが少なく、音楽の無力さを感じたと言います。こんな時にピアノを習うだなんて・・・と言う声があったのでしょう。

ピアノ教室の先生とはプレハブのジャズ喫茶「ジョニー」で会いました。かつては陸前高田の駅前にあったジャズ喫茶だそうですが、今は高台のプレハブで周囲の要望を受けて再開しているそうです。しかし「常連でその店を支えてくださった方々はもういません」とのことでした。

そのピアノの先生は8年目にして初めて3.11に陸前高田に来たそうです、僕らと話しをしてくださるために。

そしてお話を聞いた方々が必ず口にした言葉は、「申し訳ない」でした。

「申し訳ない」

聞こえますか?










今回創作している作品は、宮澤賢治の世界観を通して、震災とそして震災後の今と向き合うというものです。

僕らは陸前高田に足を運び、言葉を失いました。



同じ言葉を繰り返しますが、今回創作している作品は、宮澤賢治の世界観を通して、震災とそして震災後の今と向き合うというものです。

僕らがその当事者になることは決してありません。当事者の言葉に僕らの想像力が追いつくことは決してありません。

むしろそれを目標にして作品を作るなど以ての外です。

きっと僕は今こうして文章にしていることで頭の整理や心の整理をしているような気がします。

陸前高田で見た景色、聞こえてきた声は8年経った今でさえ、想像を絶するものでした。

芸術と食べ物が横ならびになったとき、生きるために必要なのは食べ物でしょう。
芸術と屋根ある場所が横ならびになったとき、生きていくために必要なのは雨風凌げる屋根のある場所でしょう。

けれども芸術は生きる糧にはなりうると思うのです。

ピアノ教室に戻ってきた子どもたちは少なかったかもしれません、けど、いずれ音楽に救われる時がくるかもしれない、絵の具に身を委ねられるかもしれない、舞台芸術に希望を見出すかもしれない。

正直、正直、無力さとも向き合いながら、こないだの卒業式で語られた自由の森学園の校長の「痛みの想像力」についての言葉に耳を傾けながら、今週末の本番に向けて作品を作っています。

以下、引用です(全文は:2018年度自由の森学園高等学校卒業式校長の言葉 ):


今日はみなさんの卒業にあたって、小川町の近くの東松山市、都幾川のほとりにある小さな美術館のお話をします。


 その美術館は「 原爆の図丸木美術館 」です。

画家の丸木位里さんと丸木俊さんご夫妻が共同で制作した「原爆の図」を展示するために開いた小さな美術館です。一昨年50周年を迎えたそうです。

画家同士の二人が結婚したのは1941年7月、アジア太平洋戦争開戦の半年前でした。その後、戦況がしだいに厳しくなり南浦和に疎開しているとき、広島に新型爆弾が落ちたことを知ります。広島出身の位里さんはすぐに広島に向かい、原爆が投下されてから3日後の8月9日に到着します。やがて俊さんも駆けつけ、二人はしばらくの間広島で過ごしたそうです。

敗戦から3年の1948年、二人は「 原爆を描こう 」と決意しました。それから 34年かけて「 原爆の図 」十五部作を描き上げていくのです。


「 人間の痛みを描く 」というこの原爆の図、どの作品にもたくさんの人間が描かれています。ある作品では焼けて剥けた肌を引きずりさまよっているような人々、炎に焼かれてもだえ苦しむ人々や、多くの屍の山としての人々も描かれています。この「人間の痛み」に向き合い続けた丸木夫妻は、原爆の図だけでなく、南京、水俣、アウシュビッツ、沖縄などの絵を、その生涯をかけて描き続けました。

丸木夫妻が自らの「痛みへの想像力」を広げ深めて描いた作品の前に立つとき、私たち自身も「痛みへの想像力」をもって受けとめようとします。映像や写真、文章とまた違った形で胸に迫ってくるものを感じた人は少なからずいるのではないでしょうか。

この他者の「痛みへの想像力」、今を生きる私たちにとって最も重要な「ちから」の1つだと私は思っています。

丸木美術館で長年学芸員をされている岡村幸宣さんはその著書の中で「痛みへの想像力」について次のように綴っています。

「戦争だけでなく、かたちを変えた暴力は、いつの時代も存在します。公害や原発事故、貧困、差別、偏見。私たちの社会は、そんな構造的な暴力の上に成り立っていると言えるでしょう。人は誰でも、自分の痛みには敏感になります。けれども他人の痛みを感じることは難しく、遠い国の人の苦しみは、忘れてしまうこともあります。だからこそ、最も弱い立場の人の痛みに、想像力を広げる必要があるのだろう、とも思います。」

現在、日本においても世界においても「自分さえよければいい」「自分の国さえよければいい」とする、利己主義、自国中心主義(自国第一主義)の風潮が広がっていると言っていいでしょう。

これは決して他人事ではありません。

全国の公立小中学校の保護者を対象に調査したところ、「経済的に豊かな家庭の子どもほど、よりよい教育を受けられるのは『当然だ』『やむをえない』と答えた人は62.3%に達した」との報道がありました。6割以上の人がこうした教育格差を容認しているとのことです。

世界を見渡しても、自国第一主義が台頭し、人権や民主主義、国際協調といった言葉が後回しにされているように思います。社会そして世界において「分断」が進んでいると言ってもいいかもしれません。

創立者の遠藤豊さんは生徒を目の前にして「自由の森学園の教育とは、自由と自立への意志を持ち、人間らしい人間として育つことを助ける教育」だと語っていました。

この「人間らしい人間」とは「痛みへの想像力」を持ち続けようとする人だと私は思っています。人間は他者の「痛みへの想像力」をもっているからこそ、人と人が支え合ったり助け合ったりしながら社会をつくってきたのだと思うからです。

丸木美術館の岡村さんはこのようにも綴っています。

「真の現実を覆い隠そうとする『現実』の皮を引き剥がし、一見変わらない光景に潜む取り返しのつかない変化を暴き出す想像力こそ、私たちに必要とされているのかもしれません」

「痛みへの想像力」は「見えないものをみようとする力」「真実を見抜く力」へとつながっていくのだと私も思っています。

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丸木美術館には僕も小学生のときに足を運びました、通っていた小学校の行事の一環として。

「痛みへの想像力」

岩手のお近くに住んでらっしゃる方、是非とも観にいらしてくださると幸いです。勿論遠方の方も。


この作品を通して「本当の幸い」を見つけるヒントが見つかればと思う次第です。

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いわてアートサポートセンタープロデュース
アンソロジー宮澤賢治 イーハトーヴォ発「ジョバンニの切符」
 
宮澤賢治の世界を旅するような"祈り"と"出発"の演劇作品を東京で活動する演出家・俳優が盛岡に長期滞在し、岩手在住の俳優・スタッフらと作り上げます。
 
構成:坂田裕一 こむろこうじ 新井浩介 多田純也
脚本:こむろこうじ 新井浩介 
演出:大谷賢治郎
出演:坂元貞美 古舘一也 畠山泉 山井真帆 かとうちあき 山村佑理 岩崎野花
 
【盛岡公演】
平成31年
3月22日(金)19:00
3月23日(土)14:00/19:00
3月24日(日)14:00
※受付開始は開演45分前、開場は開演30分前。
会場:風のスタジオ (盛岡市肴町4-20 永卯ビル3F)
 
【久慈公演】
平成31年
3月29日(金)19:00
3月30日(土)14:00
※受付開始は開演45分前、開場は開演30分前。
会場:久慈市文化会館(アンバーホール)小ホール
(久慈市川崎町17番1号)
 
【料金】 全席自由席 
前売券 一般2,000円/シニア(65才以上)1,700円/学生1,200円
当日券 一般2,300円/シニア(65才以上)2,000円/学生1,500円
 
【チケット予約受付フォーム】
盛岡公演
久慈公演 
 
【メール予約】
お名前、電話番号、ご希望日、枚数(一般、シニア、学生)をご記入の上、
こちらまでメールをお送りください。
 
【チケット取扱い】
いわてアートサポートセンター風のスタジオ/もりおか町家物語館
プラザおでって/カワトク/Cyg art gallery/アンバーホール
 
【お問合せ】
特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
TEL 019-656-8145
Mail:info@iwate-arts.jp
主 催:特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
助 成:芸術文化振興基金
特別協賛:いわて文化振興プロジェクト(真如苑)
詳細はこちらをご覧ください。↓
http://iwate-arts.jp/?p=3282



2019-01-13

TYA インクルーシブ・アーツ・フェスティバル ~国際児童青少年舞台芸術フェスティバルの開催



 いよいよです、明日1月14日より、子どもと青少年のための国際演劇フェスティバルが東京・代々木にある国立オリンピック青少年総合センターで始まります。今回のフェスティバルのタイトルはTYAインクルーシブ・アーツ・フェスティバル。

 TYAとはTheatre for Young Audiences の略で、児童青少年のための舞台芸術を指す、世界的に使われている言い方で、インクルーシブ・アーツとはこれもまた世界的に使われている言葉で、「すべての人が鑑賞可能な芸術」を指します。

 つまり今回のフェスティバルは、障がいの有無や文化や人種、そしてセクシャリティーなどの違いによって分け隔てられることなく、誰しもがアーティストとして観客として子どもから大人までが一緒に参加することの出来るフェスティバルなのであります。

 これは日本の児童青少年舞台芸術の分野では初の画期的な試みで、今回のフェスでは特に「障がいと芸術」に焦点を当て、障がいを持ったアーティストが出演する作品から、障がいを持った子どもも鑑賞可能な作品まで、世界そして日本から集めました。

 インクルーシブというのは特に最近使われるようになった表現ですが、僕にとっては幼少の時からごく自然なことでした。僕が通った学校では、各クラスに耳の聴こえない子や、目の見えない子、ダウン症の子や、てんかんの子、脳性麻痺の子や、肢体不自由の子が必ずいました。基本的にはほぼ全ての活動を共にしました。小学校2年の時に、てんかんを持った友人と九九の二の段を放課後特訓したこと、小学校の運動会で行われる全員リレーでクラスメートが目の見えない友人を鈴で先導しながら、前の走者から次の走者へバトンをつなげたこと、演劇も合唱も障がいの有無に関係なくクラス全員で行ったことなど鮮明に覚えています。必要に応じて、手伝うことや待つことを学んだことや、時に計り知れない努力を目にした時に感じる心の動きは、小学生の僕たちの心にしっかり刻まれたのだと思います。それは実践や経験からの学びでかけがえのないものです。

 インクルーシブ、それは「包括的な」を意味する英語です。すべてを包み込む、つまりはすべての存在を認めあうことだと思います。かつて詩人の金子みすずが紡いだ言葉、「みんなちがって、みんないい」と言うことだと思います。しかし今世界に目を向けたとき、包括的な動きよりも分離や分断といった動きの方が目立ち、意見の違うもの、立場の違うものが対立すると言う構造が至るところで見られます。時にその対立が暴力になり、そして差別を生み出す、まさにかつての歴史が繰り返されそうとしています。

 これからの未来を生きて行く子どもたちに渡すべくはそういった世界でしょうか?お互いを憎み合って、自分だけ良ければいい、そういった世の中でしょうか。

 お互いを思いやることができる「包括的」な社会を作るべく、子どものための芸術活動を行なっていく強い意志、そしてそれに伴った行動や活動をすることが我々には必要なのだと思っています。僕はこのフェスティバルもその一環として捉えています。経済を優先する現代社会に於いて、社会的弱者の声はますます聞こえづらくなります。今、舞台芸術が子どもたちのためにできること、障がい者とともにできること、そして多様性豊かな平等かつ平和な未来を築くためにできること。それらの実践こそ今回のフェスティバルが目指すところなのです。

 「みんなちがって、みんないい」

 一人でも多くの様々な可能性を持った、そして個性を持った子どもたちに「舞台芸術」という夢が届きますように。彼らの「想像力」が育まれますように。

フェスティバルの詳細:
https://tyafes-japan.com


 

2018-09-24

「カバンの中の記憶」という名の交響曲

photo by Ryo ICHII
company ma 第4回公演「カバンの中の記憶」は、皆さまのお陰で無事その幕を閉じることができました。観劇してくださったお客様、観劇は叶わぬとも応援してくださった皆さま、心より御礼申し上げます。

今回の公演は、テーマやキーワードを持ち寄って台本のないところから稽古過程の中で作っていくという手法で創造しました。指針になる台本がない作品づくりというのは正直なところ、至難の技です。作品に関わるすべての人の想像力と忍耐力を要します。その作業は一枚の絵を関わる人すべてで描きあげるようなものであり、一つの小説を集団で寄ってたかって書き上げるようなものであり、一つの交響曲をオーケストラ一人一人で作曲するようなものです。トランペット奏者、バイオリン奏者、フルート奏者などがそれぞれ勝手に作曲しては成立しません。それぞれがお互いを尊重し、自分の想像力をフルに使いつつもお互いの声に耳を傾け、最後の最後まで形が見えない創造作業に焦燥感や不安があってもそれに屈することなく、稽古場で誰一人声を荒げることなく、むしろ常に笑い声に溢れ、誰かの指示によって動くのではなく、それぞれがそれぞれに気づいたところを補っていく。むしろこれは奇跡に近い、創造作業です。それをこのキャスト、そしてスタッフでやり遂げました。開幕後は観客の皆さまと一緒に。手前味噌ですが、これは相当レベルの高い、集団的創造作業であり、それをできる面子が揃わない限り、絶対に成立しません。そうなんです、とんでもない面子が揃ったからこそ、実現できた公演なんです。最後の最後までアイデアを出し続け、最後の最後までお互いの声に耳を傾け、キャスト・スタッフ全員で作り上げた「カバンの中の記憶」。

まずはこの場を借りて、この無謀な企画に関わってくださったすべてのキャストそしてスタッフに感謝いたします。千秋楽には観客も舞台に上がり、一枚の絵を描きあげました。作品を一緒に作ってくださったすべての観客、そしてその実現を可能にした劇場に感謝致します。

まさに交響曲、交わり響く曲、シンフォニーを創れたのではとこっそり自負しつつ、再演を夢みております。

ブエノスアイレスにて

company ma 主宰
大谷賢治郎





2018-09-09

いま演劇の仕事をしてて思うこと。



こんばんは。名古屋での演劇ワークショップからの新幹線の帰り道にてこれを書いています。僕のカンパニーは来週の本番に向け、僕抜きで本日自主稽古をしています。

僕は演劇を生業にして生きています。世間的にはなかなか稀有な存在かと思います。どの世界でもきっとそうなんでしょうが、気づくと同業者に囲まれています。それは悪いことではありません。お互いのアイデアや体験を共有したり、交換したりすることができます。

しかし時に陥りやすい傾向は、世の中には同業者以外の人の方がダントツ多いということを忘れてしまうことです。とてもありがたいことに僕は日々演劇の何かに関わった仕事をしています。プロのためのワークショップを行い、子どもや若者とワークショップを行い、国際的な児童青少年演劇の組織の運営に関わり、演劇の大学で教え、演出をし、自分のカンパニーの作品を作り。

演劇に携わる色々な人に出会えば出会うほど、演劇を志す色々な若者に出会えば出会うほど、そして演劇の仕事の幅が広がれば広がるほど、僕ら演劇人の取り組むべきは日常に於いて演劇に触れていない人や社会や生活との繋がりなのではと思うのです。

芸術家同士だけで芸術の必要性を論じてもその哲学は広がっていきません。演劇人の間で社会批判を共有したところでその哲学は広がりません。子どもの時の芸術体験がどれだけ彼らの人間育成に重要かを知っているのはごく僅かな心理学者や社会学者や芸術家だけで、彼らが、我々が劇場や研究室から出て行かない限り、その哲学が広がりを見せることはありません。

すべての人が平等の芸術体験を持てれば良いなと心より思いますが、今の日本で日常の中に芸術や文化が入り込む余裕や精神的豊かさがあるのかどうか問われると正直ないと思います。なくなって来ていると思います。だからこそ、すごく考えます、どうすれば良いのかと。正直答えはなく、探し続けるしかありません。

来週、僕のカンパニーの公演があります。主宰者としては、一人でも多くの子ども、一人でも多くの大人に観てもらえたらと思いながら作品創造をしています。オリンピックのようにスポンサーが付いているわけではございません。その代わりにスポンサーの都合で上演時間や上演内容を決めると言った縛りもありません。笑

記憶をテーマに、僕が今集めることのできる最高のメンバーで作品を作っています。記憶をテーマに、戦争のない未来を作れればという思いで作品を作っています。
明確なストーリーはハッキリ言ってありません。観に来てくれた観客の想像力に委ねます。無責任でごめんなさい。

観てもらうにはチケット代が発生します。勝手に作品作っといて、金とるのかよって話です。そうなんです、日常生活に絶対必要な食料や生活空間、つまりスーパーや商店街やモールや不動産屋で売ってるものには到底叶いません。

僕らがお金をもらって提供しようとしているもの、それは一回きりの体験です。最終的には形としては何も残りません。美術館に足を運ぶ。コンサートやライブに足を運ぶ。映画館に足を運ぶ。劇場に足を運ぶ。その体験の共有にお金を払う。払ってもらう。

とここまで移動中の新幹線で書き綴り。

何が言いたいか。
ひとまず今僕が、僕らが創っている舞台作品を観に来ていただければと思う次第です。

観たいけどお金がって人。お金頂きません。その代わり、野菜でも自分が描いた絵でもなんでも良い、お金の代わりに物々交換できるものを劇場に持って来てください。

観たいけど時間がって人。次の機会に是非。その意思表示だけでも嬉しいです。

観たいしチケット代払う!って人。ご予約お待ちいたしております。

mapro@gol.com 僕のメールに連絡をくださいまし。

公演の詳細は:company-ma.com

2018-09-02

company ma第4回公演「カバンの中の記憶」開幕まであと2週間



 ご無沙汰致しております。いよいよ2週間後に自ら率いるcompany maの第4回公演の本番が迫って来ました。うちらカンパニーでのディバイジング(戯曲のないところから稽古の中でアイデアを持ち寄って作品を作っていく手法)は初演以来であり、しかも今回は出演者が9名ということもあり、稽古場はアイデアに溢れ、本番2週間前にして、ようやくそれらのアイデアを形にし始めているところです。また僕の北京出張や「小さな家」の国内巡演の時期も重なり、今回出演の石川湖太朗くん主宰の桐朋芸術短大の卒業生によるサルメカンパニー旗揚げ公演もあり、それらがそれぞれ有終の美を迎え、いよいよ船上に全員が揃い、幕開けに向け、大きな舵を切り出します。

 幕開けまでの最後の2週間というのは、不安や焦燥感がつきものですが、僕自身、それ以上に未知なる航海へのドキドキやワクワクが優っています(きっと出演者は不安の方が優っているのでしょうが・・・)。ディバイジングの時はいつもそうですが、作っては壊しての繰り返しであり、創っている最中は結果それがどこに着地するのか、もしくはしないのかわからないことも多く、最終的に観客と共有するという目的に向かうアプローチだからこそ、明確な指針や方向性の欠如のような感覚に見舞われることがあります。また点と点を結ぶ線を早く見出したいという焦燥感にも近いものがあると思います。

 ディバイジングは実験的な料理のようなものです。もしくは料理そのものが実験的であることを大前提にするのであれば、ディバイジングは料理そのものです。食材を求め、下ごしらえをし、食材の個性を味見しながら混ぜ合わせ、鍋を選び、皿を選び、どうにか美味しくなることを探求し、どうにかお客さんに美味しく食べてもらうその未知を想像しながら作るその作業はまさにディバイジング。下ごしらえをした様々な食材の小さな集合体が点であり、それらの点を線でつなぎ合わせ一つの料理を完成させる。この最後の2週間というのはまさにその段階だと思います。

 今回の食材は皆引き出しの多いアーティストたち。「記憶と戦争」という大きなテーマの傘の下、彼らと更なる食材集めのために探し求めた「記憶」や「小さな約束」の言葉たち、「当たり前の日常」やそれに対する「後悔」の記憶たち、そして「未知なる未来」に思いを馳せた「過去の夢」の数々と、たくさんの小さな点を創造し、今緩やかに点と点とをつなぎ合わせています。

 子どもに観てもらう舞台芸術作品こそ、最高品質でなければならない。現在、どの国からも聞こえてくる声であり、事実、色々な国でそれが実証されています。子どもの時の芸術体験が、その後の彼らの人生を決めると言っても過言ではないことを世界中が知り始めている、いや再確認しているのです。

 company maの志も然り。一人でも多くの子どもたちへ、一人でも多くの人たちへ、この作品「カバンの中の記憶」が届きますように。皆さんのお越しを劇場にてお待ちいたしております。

 チケットご要望の方は僕に連絡をくださるか、以下リンク先からご予約くださいませ!




company ma 第4回公演
「カバンの中の記憶」

日時:2018年9月15日(土) 17:00
             9月16日(日) 11:00 / 15:00
             9月17日(月) 11:00 / 15:00

会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
小田急線新百合ケ丘駅北口より徒歩3分
〒215-0004 神奈川県川崎市麻生区万福寺6-7-1
TEL 044-955-0107  FAX 044-959-2200

構成・演出 大谷賢治郎

出演
大谷恵理子 原田亮 森山蓉子(以上company ma)
庄崎真知子(劇団銅鑼) 片山千穂 勝山優 長原茉穂 石川湖太朗 安達原旭

音楽 青柳拓次
題字 平野甲賀
照明 鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)
美術 大谷賢治郎
衣装 大谷恵理子
音響 坂口野花
舞台監督 野口岳大
チラシデザイン 奥秋圭
制作 田事務所・安達原泉
主催 NPO法人 KAWASAKIアーツ http://kawasakiarts.org
提携 川崎市アートセンター
後援 NPO法人 しんゆり・芸術のまちづくり

チケット:全席自由・税込 発売日 2018年7月1日(日)
一般 3,500円 大学生 2,500円 中高生 2,000円 小学生以下 1,000円
3歳以下はひざ上1名無料 当日500円増 団体割引・障害者割引あり

チケット予約:
ウェブ こりっち http://stage.corich.jp/stage_main/75223
メール company ma  tickets@company-ma.com 
電話 NPO法人 KAWASAKIアーツ 044-953-7652 (月〜金 10:00〜18:00)


2018-07-03

青年劇場公演「宣伝」のお知らせ



常套句:ご無沙汰いたしております。


今年も青年劇場小劇場企画の演出をしております。

高田保・作「宣伝」。

2015年の「動員挿話 / 骸骨の舞跳」、2017年の「原理日本」に続いての日本の近代演劇戯曲への挑戦。

 よくまぁ、こんな本を掘り出してくるよなと毎年ながら思う今回の戯曲。もはや常套句なのですが、まるで今日の日本を予言しているかのような作品です。1929年に書かれた戯曲、ほぼ90年前に書かれたこの戯曲が、インターネットやスマホが当たり前にコミュニケーションのツールになっている現代に警笛を鳴らしています。
 高田保が戦後、新聞に連載していた随筆「ぶらりひょうたん」の言葉を借りて、今回演出している「宣伝」の宣伝になればと。


「人間が互いに案じ合うのは美しいことである。それなのにいま世界には戦争の気配が日に濃くなりつつあるようだ。嘆かわしい限りである。
 自衛の権があるとかないとか騒いでいるが自衛とは何か。自分のことを衛るという意味だろうが、その自分とは何かと、よく胸に手を置いて考えてみてもらいたい。私はそれを人間性だと考える。人間が人間であることを衛ることがまず何よりもの基本だろう。だが近頃の政治は、国家の安危というようなことはいうが、人間性の破滅については眼を向けようともせぬらしい。愛国心を問題にする総理大臣はいるが、ヒューマニティを論じる一人の代議士もいない。これがあの新憲法の文化日本なのだろうか。
 ヒューマニティを忘れた愛国心は惨たらしい。猛獣も静かに居眠る姿を持つものだ。日本人は再び猛獣であってはならぬ。
 侵略を恐れるよりももっと私は戦争を恐れる。講和を望むよりももっと私は平和を望む。われわれの為すべきことは戦争に備えることでなくして戦争を防ぐことである。他国と対等に立つことでなくして世界と一体となることである。これこそが日本人の心底からの声であろう。外交はあるいは秘密を本来とするかもしれぬ。しかしこの声は外交ではない。
 人間が人間性の尊貴を衛ろうとするのは神によって許されたる権利である。この自衛権こそわれわれは主張しなければならぬ。 
 私は久闊にふたたび読者諸君に見えるのを至上の幸福としているものである。」
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秋田雨雀・土方与志記念
小劇場企画No.23

宣伝

高田保=作 大谷賢治郎=演出

2018年7月6日(金)~17日(火)
青年劇場スタジオ結(YUI)

「動員挿話/骸骨の舞跳」「原理日本」に続き、大谷賢治郎氏と青年劇場が紡ぐ優れた日本の近代戯曲シリーズ第三弾!1929年、「北緯五十度以北」(「蟹工船」)とともに土方与志演出により初演。
軍隊、戦争の本質に鋭く迫る秀作が、現代によみがえる!






7月
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
月祝
17
14:00-×

×
×-
19:00--
---

☆な、なんと!! 7/13夜の部 青柳 拓次 生演奏デー!!

★=アフタートーク決定!
7/10昼の部 ゲスト:布施祐仁氏(「平和新聞」編集長)
7/14夜の部 ゲスト:志葉玲氏(ジャーナリスト)
×=売り切れです。
※開場時間は各公演の30分前です。
※上演時間は、休憩なしで約1時間30分の予定です。
一般=[前売り]4,500円 [当日] 4,800円
U30(30才以下)=[前売り] 3,000円 [当日] 3,300円
中高生シート=1,000円(各ステージ限定5席・劇団のみ受付・前売りのみ)
※料金はすべて消費税8%込です。

◎日時指定・自由席。
◎団体割引・障害者割引あり。
◎劇場は階段を下りた地下にございます。
車椅子でのご入場はできませんのでご了承ください。
お申込みは
こちら!!
お問合せはこちらから
TEL・03-3352-6922
FAX・03-3352-9418
ticket@seinengekijo.co.jp

2018-02-22

company ma 第3回公演「wonder」公演のお知らせ



おかげさまでOn7公演「かさぶた」も無事終演し、僕がディレクションに関わっている「アジア児童青少年舞台芸術フェスティバル2018」もいよいよ開幕いたしました。子どものための舞台芸術を実践するアーティストがアジア中から集まっており、彼らが一堂に会する風景はとても美しいです。

そして、我らがcompany maの第3回公演「wonder」の上演も約10日後に迫りました。
今回はカンパニーにとっても新しい挑戦をしています。これまでの2回は僕が構成・演出をしてまいりましたが、今回はカンパニーの若旦那的存在、原田亮が作・演出、20代の若者を中心に19歳から39歳の12名というビッグキャストで上演致します。僕は監修という形で演出をサポートしつつ、出演までしてしまいます。。。

この作品「wonder」は「不思議の国のアリス」をベースに原田が構成したもので、子どもも大人も誰しもが投げかける疑問、「『自分』ってなんだろう?」をテーマに一人の少女が不思議の国を旅する物語です。原田にとって「アリス」というモチーフはライフワークのようなもので、サンフランシスコの留学時代に、同級生とともに身体表現を中心した作品「Alice.」を創作、帰国後、東日本大震災を体験した少年が不思議の国を旅する「アリスがくれた不思議な時間」を児童演劇作品として執筆、また茅ヶ崎の小学生といじめや個性をテーマにした「カラー」を創造してまいりました。この「wonder」はそんな彼の創造の現段階での集大成ではなかろうかと思います。僕もようやく稽古に参加し始め、アイデア豊富な作品に仕上がってきてるなと思いつつ、本番に向けて、僕なりのサポートをして行こうと思っております。

躍動感あふれる「wonder」。僕らカンパニーが常に心掛けている、大人と子どもが一緒に観れる作品です。是非劇場に足をお運びくださいませ!

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company ma 第3回公演『wonder』

2018年3月3日(土)13:00/17:00、4日(日)11:00/15:00
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場

作・演出:原田亮
監修:大谷賢治郎
音楽:中野亮輔(青年座)

出演:庄崎真知子(劇団銅鑼)、勝山優、小山雲母、長原茉穂、安達原旭、タカミナオミ、
            大山秋(青年劇場)、一平杏子(パフォーマンス集団・たまご)、
            武井雷俊(劇団アッカパッラメント座)

            大谷恵理子、森山蓉子、大谷賢治郎


「不思議の国のアリス」の世界。
夢のような現実のような。
すべての子どもたちが持つ想像の世界。
まるで迷路のような…。

あらすじ:日本に暮らす大学一年生のアリス。アリスは、平凡な毎日に飽き飽きしていた。そんな時、足元に一枚のトランプが。拾い上げようとしたその瞬間、不思議な世界へと導かれ・・・。アリスは、その不思議な世界で多くの奇妙な出会いを通して、「自分」が何者であるかということを忘れ、そして、そのことでホントの「自分」を探すことになっていく。観客の皆さんをその摩訶不思議な物語の旅へと、ご案内いたします。

美術・衣装:大谷恵理子・森山蓉子
照明:鷲崎 淳一郎
音響:坂口 野花
VP:WAWACINEMA
舞台監督:清水 義幸
チラシデザイン:井出大・鈴木萌
制作:田事務所、安達原泉
主催:NPO法人KAWASAKIアーツ
提携:川崎市アートセンター
協力:Stillwater

チケット料金:
一般:3,500円、大学生:2,500円、中高生:2,000円、小学生以下:1,000円
3歳児以下ひざ上無料、当日500円増(全席自由・税込)
団体割引、障がい者割引あり(劇団に問い合わせください)

チケット予約:
web:https://ticket.corich.jp/apply/87896/002/
e-mail:otanikenjiro@company-ma.com(僕のメールアドレスです)
(氏名、チケット券種・枚数、公演日時、e-mailアドレスを明記してください)

電話 : NPO法人 KAWASAKIアーツ 044-953-7652(月~金 10:00~18:00)

アクセス:
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
小田急線新百合ヶ丘駅北口より徒歩3分
〒215-0004 神奈川県川崎市麻生区万福寺6-7-1
TEL:044-955-0107
http://kawasaki-ac.jp
主催 NPO法人KAWASAKIアーツ http://kawasakiarts.org