2012-12-21

人形劇と朗読

え〜毎度おなじみの直前告知です。
今週末、つまり明日ですね、人形劇と朗読をやります。

人形劇は劇団銅鑼の有志たちで作った「人形劇クラブ」によるもの。今回、新作「かえるの豆太」を演出いたしました。人形は劇団員の永井沙織による創作、音楽は寺田鉄生氏による作曲。みんなすべてボランティア。

昨年から「ユニコーンの角」プロジェクトと共に東北の子どもたちのところに出向き、上演を始めました。今回、これまでの活動の報告と今後も東北のそして日本中の子どもたちに人形劇を届けるべく、劇団のアトリエにて上演致します。チケット代は大人1000円、小学生以下は無料です。そして頂いたチケット代は今後の活動資金に活用します。

子どものいる人もいない人も、是非、笑顔を運びに遊びに来てください。
12月22日と23日、10時半と13時から。

詳細は劇団銅鑼ホームページで!
http://www.gekidandora.com/titles/puppet/


この写真はこれまで行った幼稚園などからのメッセージが貼られた劇団の掲示板。



あと、今年も去年に引き続き朗読のイベント「オトコトバ」をやります。
僕と友人の映画監督、松井雅也氏と3年後の福島を想定して書いた映画のシナリオ「旅の栞」を僕が読みます。音楽は武藤健城氏による生演奏。先日、即興的に稽古をして、とても良い感じでした。これは明日12月22日夜、世田谷にあるものづくり学校にて。

詳細は主催のスティルウォーターのホームページで!

写真は去年行なった高田漣くんとの「オトコトバ」。



2012-11-25

プラネタリウムに行こ。世界遺産 宇宙への祈り
















11月も終わりに近づき、自然が眠りにつこうとする季節。
心がようやく落ち着き始めた。

一人で妄想に耽る時間が楽しい。

プラネタリウムに行こう。

5月くらいからだったかな、僕がナレーション台本や演出に関わらせてもらったプラネタリウムの仕事。

SPIRAL

MEMORY OF LIGHT
光の記憶

いろんなタイトルを考えたり。

宇宙から放たれた、かつての光と
その光が発せられたであろう「過去」の地球とを繋ぎ合わせるコトバの作業。

楽しい作業でした。

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どんな風に妄想を膨らましていたか、初稿から抜粋:



星々の光
それは宇宙のどこかで放たれた「過去」からの光

遠い昔から人々は空を見上げ
思いを巡らせ
祈り
宇宙とつながる


時間と空間を越える不思議な時間

星の光に過去の記憶を辿り
明日という未来に続く



それは過去と未来を繋ぎあわせる時間

かつて人々は
星の光に名前をつけ
物語を紡いだ

光の記憶

命の記憶

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八木克人監督の演出も
高橋昂也の映像も
藤原太郎プロデュースによる
Gio Makyoの音も

やばいです。

2013年3月まで、池袋サンシャインにあるプラネタリウム’満天’にて。

http://www.planetarium.konicaminolta.jp/manten/program/cg/autumn_12/









2012-11-23

演劇1 演劇2




















今日は久しぶりに映画を観てきた。

想田和弘監督の「演劇1」と「演劇2」。
ふたつ合わせて5時間半。

演出家・劇作家 平田オリザ氏を追ったドキュメンタリー。

飽きることなく、ぶっ通しで観ました。



なぜなら
演劇という芸術を生業にする僕として、学びたい要素が沢山あったから。

同じように出来るか、同じようにやるかは別としても要素としてはほぼ僕がやりたいことを網羅して見せてくれました。

演劇組織を作るとは
海外で芝居を創るとは
演劇を通して教育するとは
演出とは。

方法論は異なれども、自分を省みることができました。

多謝。

いやぁ、観に行けてよかった。

演劇の創造現場を覗き見したい方、是非!
東京では渋谷のイメージフォーラムで12月14日迄やってます!

http://engeki12.com

アシテジマガジン2012 オンライン



僕がデザイン・編集に関わらせてもらった、国際児童青少年演劇協会(通称・アシテジ)の年刊誌がオンラインで読めるようになりました。

テーマはぬちぐすい。沖縄のコトバで命の薬。演劇が子どもたちのための「ぬちぐすい」になれるのかという問いに対する記事を、世界中で児童演劇の活動をしている演劇人から集めました。日英二カ国語です。

以下サイトです:

http://issuu.com/assitej/docs/assitej_magazine_2012

是非読んでみてくださいな。

2012-11-15

「トーハク劇場へようこそ」東京国立博物館にて

東京国立博物館にて「トーハク劇場へようこそ」の1回目の試みが無事終了。いやぁ、楽しかった。
俳優が作品を創った人になって現れ、自分の作品について説明する。もしくは創られた作品になって現れ、自分について説明する。

博物館に来てくれた子どもたちに。

説明だけでなく、その子どもたちと対話をする。

やりたかった企画が実現しました。

ことの発端は、昨年12月にイスラエル・テルアビブに出張中のこと。友人からメールで、「もし美術館とかに行く機会があったら、子どもたちにどんな教育プログラムやってるか見てきてね」と。さらっと言われたものの、それかなりの難題でしょと思いつつ、いや、思いきや、翌日。テルアビブ美術館に足を運ぶと・・・ うじゃうじゃいる、小学生たちが。そいでもって、そこに展示されている作品がすごい!というか、これ美術の時間で見た!って言ったようなものばかり。さすがユダヤ人国家だなと感心するのもつかの間、やってるではありませんか、小学生向けのワークショップ!衣装に身を纏わせた男組二人がヘブライ語で何か子どもたちに話しかけてる。しかもそのうちの一人は女装、というかバレリーナの格好で登場し、突如バレエのレッスンを子どもたちと始めたのです!美術館でバレエのレッスン? よく見るとその横にはドガーという画家のバレエレッスンをしたバレリーナの絵が。この絵は誰がいつ書いたとかの教科書的なうんちくではなく、この絵の中の世界を子どもたちと共有してるわけです。もう単純に感動しました。
そして、それが終わると同じが俳優が着替えて、今度はピカソの絵の前にピカソになって登場、ヘブライ語で子どもたちと対話をしてる。。。まさに目から鱗でした。行なわれていたワークショップの形態に感動したと同時に、友人からのさらっとあった依頼にがっつり返事出来る内容を目の当たりにし、絶対日本でもやりたい!と興奮し、ワークショップが終わった瞬間、その俳優二人に駆け寄り、根掘り葉掘り話を伺いました。

イスラエルではもう30年以上、この形態で子どもたちのための教育プログラムを美術館で行なっているそうで、彼らもその教育プログラムを行なっているグループに属し、「僕らは印象派担当なんだ」と話してくれ、月に3,4回、イスラエルにある美術館を回っているとのことでした。

帰国後すぐにその友人とワインボトル片手に打ち合わせ。当然興奮しているので、あっと言う間に俺一人でそのワインボトルを開け・・・

その友人こそが、今回の企画を実現に結びつけてくれた東京国立博物館の教育普及室キュレーターの藤田千織さんでした。

そして今回、その彼女と一緒に台本を起こし、僕演出のもと、博物館の会議室や、閉館後の博物館で稽古を重ね、「トーハク劇場へようこそ」というタイトルで、俳優が子どもたちに博物館を案内するというシュールな企画が実現しました。

と、ここまで書いたのが約ふた月前。

ここからは時系列で写真を載せますね。こんなことをやりました!という報告が滞る前に。。。



千織さんと一緒に執筆した台本。彼女や博物館の人に資料を集めてもらい、そこから子どもと対話のできる余白を残した台本を起こしました。


今回一緒にやってもらった原田亮くん。実は僕と同じサンフランシスコの大学で演劇を学んだ頼もしい後輩。こないだの「あやなす」にも出てもらいました。今後色々と一緒にやっていきたい俳優です。


縄文人が釈迦如来像を作り上げていく極めてシュールな光景。


いざ出陣。初回なので背中から緊張が伺えます。

えっ、なんで?


子どもたちが縄文人に出会います。


非日常が日常に溶け込んで行く瞬間、かな。


僕が手にしているのは縄文のヴィーナスと呼ばれる土偶。


これは火焔土器。国宝です。東京国立博物館ではこれが最初の展示品。日本の美術の最初の一歩。子どもたちはこの土器から色々なことを想像しました。




そして、子どもたちは仏像の部屋へ。そこの佇む如来像。


えっ?どういうこと?


自分のことばで仏像は子どもたちに語り始めます。


子どもたちに仏様のポーズ、「印」を伝授しています。


そして次の部屋。日本の近代美術の部屋に。


日本画の巨匠、横山大観が子どもたちに自分の絵について説明してます。


大観の絵を食い入るように見る子どもたち。絵から感じるものを語ってもらいました。


そこに岡倉天心先生が。大観の先生でもあります。博物館の隣りにある東京芸大を作った人の一人。


同じ日の午後。二本目のツアーの準備。


颯爽と二階に向かう縄文人。


一回目は小学生低学年との親子コース。今度は高学年です。質問の内容もさらに具体的に。


土偶について話す縄文人。命を生む女性を尊敬していた縄文人。千織さんのお腹の中に育まれる新しい命。


そして仏像の部屋に。


出番を終え、走り去る如来像。これもかなりシュールな絵。


日本画家の巨匠二人と千織さん、この日最後の記念撮影。


そして、ひと月後。8月末に続き、9月末に行なわれた二回目のツアー。


縄文人にひげが・・・


子どもたちを待っています。


その間に記念撮影。


子どもたちの質問に答えています。


お腹の中の赤ちゃんは更に大きくなっていました。


次の部屋に案内しています。シュールな絵だ。


じっと待ってますね。


足下には説明が。


仏像と話す機会。心に刻まれたのでは。


タイムスリップ。それ即ち想像力。


”ミュージアム・シアター”
日本語にしたら博物館演劇、かな。

日本でもどんどんやって行きたいなぁ!と思っております。

最後に縄文人と如来像の衣装を作ってくれた、ジャコメッティのデザイナー、エトワール・ツヨシ君と記念撮影。








2012-10-04

「あやなす」終演


ようやく「あやなす」終演の報告が出来ます。
観に来てくださった方も、来ようとしてくださって来れなかった方も、とにもかくにもありがとうございました。


ひとつの舞台作品を演出しました。
台本も何もないところから、俳優やスタッフと一緒に作り上げた作品。
試行錯誤しながら、どうやって「ことば」を発することなく「ことば」にならない「ことば」を探すことができるか、そんな創造作業でした。


明確な物語も敢えて持たず、家族について作ったシーンを自分たちなりに繋ぎ合わせて、観客の想像に委ねました。
「無茶振りやんけ」と思った観客もいたと思います。いや、いました。
でも敢えて「十人十色」の解釈に委ねました。


正直、怖かったところもあります。
言いたいことが伝わるかな、ではなく、何か伝わるかなと。


勿論、伝えたいことはありました。でもそれが伝わったかよりも、「何か」が伝わればいいなと思いながら幕を開け、賛否両論様々でしたが、「そんな風に感じてもらえたんだ」という多くの意見を頂きました。


今回は劇団銅鑼の40周年公演の一環でした。
40年前、劇団民藝から離れた有志の方々で作った劇団。
その中のひとりに、鈴木瑞穂氏がいます。日本の新劇を形成したその第一人者のお一人。つまりは我々演劇人の大先輩です。
彼は80歳を過ぎた今も現役で活躍されておりますが、その彼からお手紙を頂きました。
ご本人の承諾を得て、この場でその一部を紹介させて頂きます。

『「人間とは…」という演劇の不変の追求を強く感じ、想像力をかき立てられました。…激しく動くイマジネーションを肉体で表現すること。その面白さです。木下順二さんが言はれた「劇的とは」の中に馬術の話が出て来ます。全力で走り出そうとする馬を乗り手が軽く手綱で抑制している、そこに内的エネルギーのマグマと軽くさわやかな動きを感じ取る事が出来る、これが「劇的」だと…。その事を思い出しました。…最後に(これは演出の大谷さんとも話したのですが)チェーホフがチャイコフスキの音楽を「偉大なるアブストラクト」と語ったのを思い出し、今、チェーホフ短篇をチャイコフスキを聴きながら読んでいます。(一寸キザですが)「あやなす」の皆さん、本当にお疲れさま!! そして有難う!!』



アブストラクト。それは抽象的なことを意味しますが、その抽象から何かを想像してもらうチャレンジをしたかった僕として、この手紙はとてつもなく嬉しかった。「ことば」にならない「ことば」を想像してほしい、自分なりに感じてほしい。横柄かもしれないけど、そこに本気で取り組みたかった。



説明や指示に馴れてしまっている自分たちへのチャレンジ。
大袈裟かもしれませんが、最終的には「生きる力」って「想像力」だと思うんです。
だから敢えて。


今後もどうやったら「想像力」を煽ることができるか、模索します。


僕も鈴木氏を真似して、チャイコフスキを聴きながらチェーホフの短篇を読んでみました。チェーホフ、やりてぇなぁ。。。チャイコフスキ、マジかっこいいです。



最後に。
今日観客の一人を通して、マルセル・マルソーからの助言を頂きました。

「自分の芸術にとって大切なことは三つ。

重心
間合い
タイミング。

特に観客との間合い。」




more photos from the rehearsal:
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10151184126571600.481153.638846599&type=3