2014-12-01

company ma : a new website / 新しいカンパニーの旗揚げ!



















(English text follows after Japanese text)

いよいよ自分たちのカンパニー、company ma の旗を揚げることとなりました。本日より、ウェブサイトを公開させていただきます。

We have finally founded our theatre company named "company ma".
Please visit our brand-new bilingual website:

http://company-ma.com

今後とも我々の活動を暖かく見守ってくださいますよう、何卒よろしくお願い致します!
Many thanks for all your supports!

company ma 代表 /director
大谷賢治郎
Kenjiro Otani



2014-11-22

紛争地域から生まれた演劇 リーディングの演出をします。


ご無沙汰致しております。9月以降、あっちゃこっちゃ行っておりました。毎年行なっている文化庁主催・劇団銅鑼「ハンナのかばん」の公立小中学校の演劇ワークショップで、今年は鹿児島、大分、宮崎へ。種子島から、本島最南端の佐多岬、映画「100年ごはん」でお世話になった臼杵、はたまた全校生徒26名の小学校にお邪魔したりもしました。当然のことながら、今うちは芋焼酎で溢れています。
また、劇団わが町の「わが町 しんゆり」の再演もあり、あしげに新百合ケ丘にも通っておりました。一昨日までは打ち合わせと銘打って沖縄にも行き、未来のあれやこれやの計画も。はい、色々と動いております。

さて、本題に。来月、リーディングの演出を致します。イスラエル人のアーティスト自身の体験から描かれたパレスチナでの物語をドラッグクイーンが語ります。僕も最初読んだとき、作品の面白さと内容に震えが止まりませんでした。相当なチャレンジになることを覚悟し、この度演出を致します。僕の演出だから観に来て!ってだけでなく、是非ともいろんな方に観てほしい、聞いてほしい、とても鋭い、とてもプライベートな物語です。

因みに演奏は高校からの友人でLittle Creatures等でも活躍する鈴木正人です。オリジナルの舞台ではふんだんに音楽が奏でられるのですが、リーディングでもふんだんに使う予定です。そのため、今鼻歌で作曲中です・・・。


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国際演劇協会主催 紛争地域から生まれた演劇 シリーズ6 リーディング 「私たちは戦争、暴力、支配を超えられるか?1914-2014: 第一次世界大戦から100年」

『燃えるスタアのバラッド』(UK/イスラエル)

昨年のエディンバラ・フリンジフェスティバルで大賞受賞、多国籍劇団によるパレスチナ紛争を題材とした作品。

ロンドンを拠点とする多国籍劇団 Theatre Ad Infinitum によって製作され、昨年のエディンバラ・フリンジフェスティバルで大賞受賞、現在、英国ツアー中の作品。劇団はパリのジャック・ルコック国際演劇学校の卒業生たちによって結成されたフィジカルシアターを基本とする団体である。この作品の作・演出・主演のNir Paldiはイスラエル出身、パレスチナ問題を同時に「イスラエル問題」としてとらえ、紛争と占領がイスラエル人の心理にどのような影響と分裂を引き起こしているかを「キャバレースタイル」を使って描き出している。

作:ニル・パルディ(Nir Paldi) 訳:角田美知代

演出:大谷賢治郎(company ma)

出演:板津未來 尾川詩帆 小山萌子(エンパシィ) 佐原由美(流山児★事務所) 土井真波(劇団銅鑼) 古舘一也(company ma)

演奏:鈴木正人

●日時
2014年12月19日(金)19時/20日(土)14時
●会場
東京芸術劇場アトリエウエスト
●料金
各回:1500円(ITI会員:1,000円)トーク・シンポジウム・ラウンドテーブル込み
●ご予約/お問合せ                                                公益社団法人 国際演劇協会日本センター事務局
E-mail : ititicket@gmail.com
TEL : 03-3478-2189(平日11時〜17時)
FAX : 03-3478-7218
FAXでのお申込みも可能です。氏名(フリガナ)・日時・枚数・連絡先等を明記ください。
料金のお支払いは、当日受付にてお願いします。



2014-10-02

東大で演劇ワークショップ!




















これまで色々なところで、演劇ワークショップを行なってきましたが、(実は現在も、今年で4年目になる劇団銅鑼「ハンナのかばん」文化庁・文化芸術による子どもの育成事業の公立小中学校を回る演劇ワークショップで南九州を巡行中!)ついに東京大学で行なう機会を頂きました。

東京大学大学院で「哲学」を学んでいる、総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(通称UTCP)にて「哲学ドラマ」と題して演劇ワークショップを行ないます。

この研究センターは3つのグループに分かれているのですが、そのうちの二つ、「共生のための障害の哲学」と「哲学をすべての人に」という2グループの共催で行ないます。
一つ目のグループは「当事者研究」と言って、発達障害や精神障害を持っているとされる当事者が、障害者と健常者の間の共生社会を築くための哲学を展開していくことを目的としており、二つ目のグループは「哲学対話」と言って、哲学カフェや、学校での哲学教育、子どものための哲学など、哲学者だけでなく、ワークショップなどを通して開かれた哲学を発展していくことを目的としており、この二つが共催で行なう、演劇ワークショップ。面白くならないわけがないだろうと、話しをもらったとき、すぐに手を挙げて「やります!」と返答しました。

何年か前に「ちいさな哲学者たち」というフランスのドキュメンタリー映画がありました。その映画は、フランスの幼稚園が舞台で、子どもたちが「愛ってなんだろう?」「自由ってなんだろう?」って話し合う2年を追っており、まさに子どもたちに「考える」機会を与え、自分のことばで「生きること」の意味を探って行く姿に、僕は目から鱗が何枚も落ちました。「哲学」というと難しい響きに聞こえるけれど、生きて行くことの中にある様々な疑問を考えること。それは僕が自分の演劇ワークショップで子どもたちに繰返し言う、「自分で考えて動いて」「想像力を使って」ってことに繋がるな、と。「考える力」や「想像力」を持つことで、共感や当事者意識が持てるようになれたらという人間力の教育を僕も演劇のワークショップを通して行なって行けたらと思っていた時にまず、「哲学のすべての人に」の哲学対話ワークショップに出会い、僭越ながら、子どもたちとの活動の可能性を広げたい僕の心に共鳴しました。



また、アシテジ国際児童青少年演劇協会の仕事で、様々なアーティストに会う中、「インクルーシブ・アート(包括的芸術)」と言った活動をしている人たちと出会い、やはり障害を持った当事者が演劇活動を展開させていくというもので、これもまた僕のやりたい活動の一つとしてビンゴでした。そして、今回出会った「共生のための障害の哲学」。僕にはまだまだ計り知れない研究ですが、是非ともこの機会を通して、僕自身学ばせてもらえたらと思っています。

勿論様々な「障害」と言われるものがあり、一概には言えませんが、社会に順応するのが難しい人を「障害」を持っている人と括る傾向があると思います。しかし、それは現在の社会の在り方は絶対であるという考えに基づくもので、それは学校生活に馴染めない子を特別支援学級に入れる傾向にも似ていると思います。明確な答えは出せないのですが、僕には社会に適応する人が健常であり、適応出来ない人が障害者だとは単純に思えないのです。

なんてことを思ったり、考えたりしながら、今回のワークショップの機会、嬉しく思います。

今回のワークショップはズバリ「恋愛」。
寺山修司の「人魚姫」のテキストを使って、恋愛について、演劇ワークショップを通して哲学します。

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東京大学大学院総合文化研究科 教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター UTCP L2×L3合同企画
哲学ドラマ ワークショップ
愛すること 愛されること:「恋愛」の当事者研究
~演劇という「空想」を通して「恋愛」を哲学する~


テーマは恋愛。
愛するとは、愛されるとはなにか。自分とは違う存在、身体、世界を生きる他者であるあなたに、なぜ私は近づきたいと願うのか。
誰もが一度は当事者になったであろう恋愛について、寺山修司版『人魚姫』という物語の中で、一緒に楽しく考えていきたいと思います。

当事者研究とは、自分たちの苦労のメカニズムを自分たちで解明し、自分助けの方法を探求していく実践です。これは、「自分」を「哲学」することに通じます。
このワークショップでは、演劇という空想を通して当事者研究―哲学―するワークを行います。
後半、当事者研究や国内外で演劇実践を行っているパネリストと参加者の皆様で、ワークを踏まえた哲学対話を行います。

2014/10/13(月・祝) 13:00~18:00

 第1部 哲学ドラマワークショップ 
 13:00~15:30 [定員]30名程度 
 東京大学駒場キャンパス 21KOMCEE 101

 第2部 フォーラムダイアローグ 
 16:00~18:00 
 東京大学駒場キャンパス 21KOMCEE 303

 使用言語:日本語|入場無料|要事前登録|対象:12歳以上

※事前登録が必要となります。
参加をご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みください。
※第二部からのご参加も歓迎いたします。

〈参加者の皆様へ〉
第1部のワークショップにご参加の方は、動きやすい服装でご参加ください。また、第1部の会場では靴を脱いでいただきますので、よろしければ靴下、または体育館履きなどをお持ちください。
当日は祝日のため、大学内購買は閉まっております。お飲み物のご用意をお忘れになりませんよう、お願い申し上げます。また、長時間になりますため、飴やチョコレートなどをお持ちいただくことをおすすめ致します。

ゲスト:

 第一部〈構成・出演〉
 松山(福士)侑生(つくば国際大学)
 大谷賢治郎(国際児童青少年演劇協会理事)
 土井真波(劇団銅鑼)

 第二部〈パネリスト〉
 当事者の立場から…水谷みつる(こまば当事者研究会)
 演劇実践家の立場から…花崎攝(企業組合演劇デザインギルド)
 支援者の立場から…向谷地生良(北海道医療大学)
 研究者の立場から…石原孝二(UTCP)
 出演者の立場から…松山侑生、大谷賢治郎、土井真波  

オーガナイザー:
 第一部…梶谷真司(L3「Philosophy for Everyone」)
 第二部…石原孝二(L2「共生のための障害の哲学」)

企画:松山(福士)侑生(つくば国際大学、こまば当事者研究会、P4E研究会)
主催:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)上廣共生哲学寄付研究部門 
L2「共生のための障害の哲学」、L3「Philosophy for Everyone ~哲学をすべての人に~」   





2014-08-24

羽衣HOUSE



















一昨年、昨年に引き続き今年もふじたあさや演出の助手として、青年劇場の夏の公演を創る過程に参加させてもらってます。

今年の作品は篠原久美子さん書き下ろしの新作「羽衣HOUSE」。

震災から3年後。
福島からの避難家族を受け入れる宿泊施設が舞台。

そして、コメディ。

本が実に面白い。
この面白い本を面白く上演する為に、俳優たちと日々あーだこーだ試しています。

舞台上でも常に多くの大人たちがあーだこーだ動いています。それぞれの思惑を持って。
そのカオスが人間臭くていいんです。

新しい本に出会う度に、作品の作り方や向き合い方は変る訳で、僕も模索しながら、どうやったら、コメディーをコメディーにできるか、試行錯誤を楽しんでます。


笑いの向こうには計り知れない苦痛や悲しみがある。
道化がそうであるように

なんて日々稽古場で考えながら。
















そして、以下僕が青年劇場に寄稿させて頂いた文章です:

まずは率直に。とんでもない本に出会ってしまった、という感じである。震災から3年が経ち、多くの人がインターネットなどを通して、マスメディアや政府を批判したり、反原発を訴えたり、そのための活動を広めようとしている。ざっくりと言ってしまえば、僕もそれらの多くに同意するのだが、しかし、それらの情報を自分の知人達にも知ってもらおうとシェアするかといえば、大抵の場合、しないのである。どこかでしっくりこない自分がいるのだ。そんな中、この本に出会い、ずっと痒くて届かなかったところに届いた!という感覚で、情報をシェアしない、どこかしっくりきていないその理由が自分の中で明らかになった。
 「賛成・反対」「正論・反論」「右・左」・・・といった単純な二極化の傾向が、自分にはしっくりきていなかったということに気づかされたのである。当然僕の勉強不足も重なり、無責任に情報をシェアできないという点もあるのだが、どこか答えが単純化されてはないだろうか、という危機感をずっと抱えていたのだということにこの本を通して気づかせてもらったのだ。
 その単純な答えが分断を招いていると、篠原氏も稽古で語っていたように、今地球規模で考えなければいけない様々な問題が、単純二極化によって、結果、更に解決を難しくしているように思える。今、世界はカオスだ。そのカオスと向き合うためには、僕らの中に多様性を持っていなければならない。多様な視点と理解力を持たなければならない。そのカオスを、一筋縄では行かない震災後の日本の今を、したたかなる批判精神の上に、見事に書き当てているコメディーが「羽衣HOUSE」だ。
 上演までの稽古プロセスが、非常に楽しみである。

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はい、頑張ります。
観に来てくださいまし。
チケットとります!

詳細は青年劇場ウェブサイトにて:
http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html


2013年9月12日(金)~21日(日)
※9/16(火)休演

12金 19:00
13土 14:00 / 18:30
14日 14:00
15月 14:00
16火
17水 14:00
18木 14:00 / 19:00
19金 19:00
20土 14:00 /18:30
21日 14:00

紀伊國屋ホール 〒163-8636 新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋書店新宿本店4F
http://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20140623112000.html

演出・ふじたあさや
作・篠原久美子

出演
青木力弥 葛西和雄 昆野美和子 大木章 奥原義之 浦吉ゆか 武智香織 相楽満子 藤代梓 安田遼平

ストーリー
事故を起こした原発から300キロ離れた山間にある自然の家「羽衣House」。
2013年夏。子どもたちが自然教室に出かけている間に、何者かによって家が荒らされた。ネットには犯行予告ともとれる書き込みがあったが犯人は誰なのか・・・。
それよりなにより、子どもたちが夕方からのマジックショーと焼肉パーティーを楽しみにしている。彼らが戻って来るまでに、なんとか元通りにしたい。「お帰りなさい!」と、何事もなかったように、子どもたちを笑顔で迎えるために・・・!



入場料金[全席指定・税込]
 前売 一般 5,150円  U30(30才以下) 3,100円
 当日 一般 5,500円  U30(30才以下) 3,400円

前売券取り扱い
 紀伊國屋キノチケットカウンター(新宿本店5階/店頭販売のみ 受付時間10:00~18:30)
 青年劇場・チケットぴあ

お問合せ 青年劇場 03-3352-7200




2014-08-13

近況報告:あやなす、フィリピン、オトコトバ、沖縄を経て、ミュージカルワークショッップ

怒濤の日々を過ごしていました。
ありがたいことなのですが。

どこに着地するかわかりませんが、自分にとっての総括も含めての本日の投稿ということで。

「あやなす」。2012年9月の初演以来、約2年振りの上演でした。




















今年の1月、僕が日本センターの理事を務めている、アシテジ国際児童青少年演劇協会のアジア会議というのが韓国・ソウルでありました。その会議の席で横に座っていたのが、フィリピン教育演劇協会、通称PETAのプログラムをプランするクエングさん。今思えば、運命の出会いでした。その席で、どんな作品を作っているのか訊かれ、早速僕は昨年上演した「不思議の記憶」と一昨年上演した「あやなす」について話しをしました。帰国後、Facebookを通して連絡があり、Facebook上にある「あやなす」の写真を見て、是非この作品をPETAでやりたい、と。えっ、写真を見ただけで!って思いつつも、確かに僕の友人・一井りょうに撮ってもらった写真群は力強く、映像も観たいとのリクエストにダッシュで応え、通常ではありえない速度で、PETAの尽力は相当なものだったと思いますが、国際交流基金の助成を受け、あれよあれよと言う間に招聘が決定。PETAの作品との二本立てでの上演が決まりました。テーマは「人々の苦難と生命力を物語る、静かなる演劇」。PETAの作品も「あやなす」も災害をテーマにした無言劇。コトバを使わずして物語る演劇作品上演企画として呼んでいただきました。
http://petatheater.com/2014/07/01/ayanasu-silent-stories-of-struggle-and-survival-from-philippines-and-japan-at-the-peta-theater-center/




せっかくフィリピンに行くのなら、せっかくそのために稽古をするのなら、せっかくこのテーマで再演するのならと、僕らは僕らの現状を踏まえ、約ひと月の稽古で作品を新たに創り直し、音楽もすべてTakujiのものを使わせてもらい、劇団わが町の劇場:川崎アートセンター・アルテリオ小劇場で、まずは日本人に観てほしいという思いで、上演致しました。


以下、観に来てくださった方の感想の抜粋です:

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震災を題材のきっかけとしながらも、生と死を考える舞台として一人でも多くの若者に観てほしいです。

台詞がないだけにこの作品は世界に通用します。
台詞のない演技は演じるほうにも観る側にも想像力を刺激してくれます。
その想像力を育てることが決定的に足りていないのが今の日本の教育です。

上質な、良心を育てる想像力の育成こそ、今情報を受けることだけしかできない、想像力を失った日本の教育に不可欠と思います。

固定観念から解放された演劇。しかもわかりやすく、しかし深い本質を突いた舞台。おしきせでない音楽。あやなすは萌芽を感じさせてくれました。

日本からこのような上質な文化があるという表現活動を引き続き楽しみにしております。

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そして、フィリピンへ。PETAはもともと教育のための演劇を目的とした機関で、公演当日は国際交流基金(海外ではJapan Foundationと呼ばれ、国際的文化交流などを助成する日本の機関)の絶大なる支援のもと、普段お芝居など観れない貧困層の若者も観客として招待し、キャパシティー450名の劇場に460名、二公演でしたので、約900名以上の観客に観てもらいました。僕の演出の意図として、ただシリアスなものでなく、笑いの要素もある作品にしたいというのがあったのですが、前半では観客がドカンドカンと笑ってくれ、芝居の途中では拍手も起こるという、日本ではあまり見られない光景がそこにはあり、僕自身も音響をやる傍ら興奮しつつも、俳優たちも、日本とは違ったそのライブ感に、刺激されるかのように、劇場と観客との一体感の中、演じているようでした。






































































フィリピンで二番目に大きいと言われている新聞にも翌日、批評を載せて頂きました:

以下その訳です:

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GMAニュース フィリピンの新聞「あやなす」演劇批評

演劇批評
「あやなす」日本の震災後の笑い、家族、そして不屈の精神
アンドレイ・メディナ GMAニュース 2014727日午後4:01

土曜の夜、クエゾン・シティーにあるPETA-Phinma劇場にて、鳴り響くドラムと、その舞台上に天井から吊るされた白い服がむき出しに晒される中、芝居は始まった。

そして、白い服が落ち、それは、2011年の東北大震災と津波の生存者たちの複雑に絡み合う感情の物語の始まりを儀式的に表すものだった。

この作品は、ある日本の家族の、惨事中、そして惨事後の苦難に、即興から作られたノンヴァーバル(言葉を使わない)のパフォーマンスを通して、焦点を当てている。

静寂の中、俳優はすべてのシーンにおいて、生々しい感情を表現していた。また、照明と音楽が感情を揺さぶり、感情的な効果を高めていた。シリアスなトーンを表すかのように照明が落されるときもあれば、シーンの重要性を物語るように、強い照明がハイライトとして当てられるときもあった。

また作曲された音楽は、「あやなす」の素晴らしい振付と同等に、この作品の強力な点の一つであった。

ひとつ気づいたのは、シーンの移り変わりが、常に照明と音楽の間隔によって明らかに同様であったという点だ。

しかしながら、スマートな動きと計算された振付により、俳優たちは舞台上で優雅にその移り変わりを表現することを可能にした。

また、常に白い服が、命を含めた色々なもの、新生児から死までを象徴するのに使われていた。

最も良かったシーンの一つは、その白い服を用いて4人の俳優が、舞台中央の5人目の俳優を包容するシーンであろう。そのシーンは不意にしかし心を揺さぶる抱擁で終えるものだった。

私がこの作品について最も好きだったのは、時折挿入されるいくつかのコメディーシーンで、観客の心温まる笑いを誘っている点だ。

それにより、観客が楽しむこと、悲しむこと、そして震災の悲劇のあとの人間の魂の強さに引かれることができる、多様性ある作品に仕上がっていた。

結果、「あやなす」は飽きる瞬間が一つもない、楽しい作品となった。シンプルでありながらも笑えるコメディーにより、観客を家族の価値観というテーマに導き、後半の象徴的かつ、不屈の精神を物語るシリアスなシーンを通して、力強いメッセージを伝えることに成功している。
-BM, GMAニュース

「あやなす」(演出・大谷賢治郎)は比日友好月間を祝う行事として、日本の劇団銅鑼とPETA、国際交流基金マニラ支局のパートナーシップによって上演された。

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公演の翌日、僕らは現地の演劇人や教師にワークショップを行なう機会を頂き、「身体表現」「タブー」「即興からのシーンづくり」をテーマに6時間(実際には1時間超えの7時間)、まるで「あやなす」の創造過程を凝縮したかのような演劇ワークショップを行ないました。「あやなす」の出演者たちも参加し、言葉の壁を乗り越えた共同創造作業、「タブー」に於いては、性の問題や、家庭内の問題など、日本もフィリピンもない普遍的な「語ってはいけないとされていること」が浮き彫りになり、非常に興味深いワークショップになりました。終わりの時間が近づくにつれ、「まだ終わりにしたくないです!」という多くの声が、とても嬉しかったです。うん、「終わり」ではなく、ここが「始まりです」とワークショップを締めくくりました。
























そして、帰国。
そして、その翌日。


今回もTakujiと一緒に行ないました。テーマは愛。タイトルを「愛コトバ」。
前半は色々な「愛」を語った詩やコトバを朗読し、後半は来てくださった方々に「今一番想っている人に対してのメッセージ」を書いて頂き、それらをランダムに読ませてもらいました。目の前にいる人たちが書いたそれぞれの「愛」のコトバを語る、いやぁ、いろんな種類の汗をかきました。僕の声も、Takujiの音も、それらのコトバに揺さぶられました。終演後は、二人して、なんだかこれまでのパフォーマンスで感じたことのないコトバにならない不思議な感覚を分かち合ったのを覚えています、なんだか今までしたことのない、笑い方みたいな。んん、愛はコトバにすると、自分に帰って来るから、恥じらいを覚える一方、やはり、「愛なんだよ」って思った夜でした。
















そして、その翌日。朝一の便で、国際児童青少年演劇フェスティバルおきなわが行なわれていた那覇へ。
世界中からの選りすぐりの作品を堪能、そして通訳の仕事の傍ら(って今回は公式通訳ではなかったので、ありがたいことにそこまで多忙ではなく。多謝!)世界中から集まったアーティストたちと交流を深め、未来の可能性をたくさん思い描いてきました。観劇の合間に、来年以降の日本での企画、日本の若いアーティストを集め、高学年向けの作品を創る試み、いや企みや、アジアのこれからを担うアーティストを集め、3年後の南アフリカで行なわれる、アシテジ国際児童青少年演劇協会世界大会に向けての作品づくり、来年行なわれるブラジルでのタブー・ワークショップに向けての日本・南米共同企画、北欧や韓国で活気づいてきている赤ちゃん向けの演劇作品を迎えての日本での試み、いや企みなど、多くの作戦会議を、台風にめげることなくしてまいりました。


3日の最終便で帰京。
その翌日。

昨年に引き続き、川崎アートセンター企画による、一週間のミュージカルワークショッップを行ないました。

昨年は定員20名で募集をかけたところ、54名の応募があり、全員合格にしてしまった僕は、二チーム作り、自然をテーマにした作品を一週間で作り上げるという強行を行い、その反省を踏まえ、今年は...定員20名の募集で、約140名の応募を受け… 僕は選べないので、アートセンターに抽選で40名まで絞って頂きまして。。。つまりは反省をあまり踏まえてはおらず。。。「宇宙」をテーマにアフリカ音楽を彷彿させる音で、下は6歳から上は63歳の参加者と、やはり二チーム作って、「大きな宇宙 小さな宇宙」という作品をみんなで創りました。
このワークショップの僕にとっての目的は、自分たちの想像力を使って、創造する場を作る、というもの。僕も含めた大人が指示をして動いてもらうのではなく、低学年だろうが、高学年であろうが、中学生であろうが、大人であろうが、自分たちで考え、想像し、創造するという作品づくり。勿論、結果、つまり発表も大事だけど、創る過程を大事にしたいなという思いで今年も行ないました。そのためには勿論こっちも忍耐力も試される訳ですが、同時に僕もどうやったら自分たちで創造できる環境を作れるのかという学びの場。今回も多くを子どもたちから、そして勇気ある大人たちから学びました。
と言っても、ある程度、前もって台本や、歌ってもらい、踊ってもらう楽曲は仕上げておかなければならないので、宇宙をテーマに台本や歌詞を作りました!






























以下、歌ってもらった歌詞です:

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「大きな宇宙 小さな宇宙」

朝 目が覚めると
僕の上には青い空が広がっている
太陽が眩しく輝きながら
「おはよう」と声を掛けてくれる
優しい空はどこまでも続く大きな宇宙
僕も 私も 
宇宙に向かって大きな声で挨拶をしよう
「今日もステキな一日になりますように」

この広い宇宙ではすべてのものがつながっている
この広い空の下 すべてのものがつながっているように
この空いっぱいに広がる宇宙のように
僕の心にも 私の心にも
大きな宇宙が広がっている

夜 眠る前
私の上にはきらめく星が広がっている
お月様は星々に囲まれて
「おやすみ」とそっとささやく
優しい夜空は果てしなく続く大きな宇宙
僕も 私も
宇宙に向かって小さな声で挨拶をしよう
「今夜もステキな夢が見られますように」

この広い宇宙ではすべてのものが輝いている
この広い空の下 すべてのものが輝けるように
この空いっぱいに輝く星のように
僕の心にも 私の心にも
たくさんの星が輝いている

僕の心が
私の心が
広がって行くのは
お父さん 
お母さん
お兄ちゃん
お姉ちゃん
そして大きな宇宙がやさしくそばにいてくれるから

僕の心が
私の心が
輝くことができるのは
家族が
友達が
そしてたくさんの星たちがいつもそばにいてくれるから

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最後の最後まで、完成を目的とせず、創る過程を大事に心掛けて指導させてもらうなか、参加者が自主的にお客さんに観てもらうために、ワークショップから稽古モードに入っていく姿には心から感動しました。子供同士が、年齢の違う者同士が、声をかけ合って、お互いを補い合って作品を仕上げて行く。下級生が台詞を忘れれば、上級生がそれを教え、隣りの子が振付が定かでなければ、年齢関係なく、先に覚えた子が、一緒に振りを練習したりとか。
僕は全体の構成やら演出やらやらせてもらっている訳ですが、実は一番、教わってるのかもしれません。

関わっていただいた、作曲家・西村勝行さん、振付家・松浦希実さん、歌唱指導・萩原かおりさん、パーカッション・やまだはるなさん、ピアニスト・山田由起子さん、そして、川崎アートセンターの皆さんと参加者の皆様に

多謝。

と、ここまで先に文章を書いて、この文章の中に写真を織り交ぜて行く作業を今からします!

長々と読んで頂きありがとうございました!